大井川鉄道

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昨年8月末に新社長を迎えて経営再建に取り組んでいる大井川鉄道(本社・静岡県島田市)。新駅構想や増便といった明るい変化が見られつつある。再生の道のりは始まったばかりだが、沿線でも支援の動きが加速している。
新東名高速島田金谷インターチェンジ(IC)の南にある大鉄大井川本線の五和(ごか)駅(島田市竹下)。2014年度で1日当たりの平均乗降客数が75人しかいなかったが、駅周辺はいま、新駅構想の舞台になっている。

 2月、島田市と中日本高速道路(名古屋市)、大井川農協(静岡県藤枝市)、大鉄の4者は、島田金谷ICと国道473号が交わる五和駅の北方約500メートルの約2・2ヘクタールに飲食・休憩施設などを建設する計画を発表。大鉄も蒸気機関車(SL)が発着できる新駅開設を検討していると明かした。

 新駅の狙いは、SL列車目当ての観光需要の掘り起こしだ。SL列車の乗客が帰路に乗る普通電車の運賃や物販などを含めると、SL関連収入は大鉄の鉄道事業収入の約9割を占める。経営再建にはSLへのてこ入れは必須だ。高速のICに近い新駅ならば、首都圏や中京圏から観光バスで訪れるツアー客の乗り継ぎが便利になり、誘致に力を発揮する可能性がある。

 順調に進めば、2年後の18年5月着工を見込む。大鉄の前田忍社長は、2月の記者会見で「共に夢を語り合いながら進めていきたい」と話した。

■沿線の信頼回復急ぐ

 金谷―千頭間(39・5キロ)の大井川本線と千頭―井川間(25・5キロ)の井川線を運行する大鉄は、14年に経営不振が表面化。同年3月で有利子負債が35億円に膨らみ、大井川本線の普通電車を14往復から9往復に減らした。

昨年5月には、官民ファンドの「地域経済活性化支援機構」(東京)による再生支援決定を受けた。機構は再生策として債務免除の仲介に加え、北海道でホテル再建をしている事業再生会社「エクリプス日高」の経営参画を盛り込んだ。

 エクリプス社の社長だった前田氏は昨年8月末に大鉄の新社長に就任。社員からアイデアを募集して意識改革を進める。大鉄はさらに観光客を増やそうと今年に入り、スイーツ列車や夜桜列車を初めて運行。井川線沿線の長島ダムの見学を組み込んだ平日限定の「インフラツーリズム」など新たな商品開発を進める。

 大鉄にとっては、普通電車減便で失われた沿線自治体や住民からの信頼回復も急務だ。前田社長は沿線住民との意見交換会に積極的に赴く。3月のダイヤ改定では大井川本線で普通電車を上下各1本を増やした。大鉄によると、14年秋から土砂災害で不通の井川線接岨峡(せっそきょう)温泉―井川間が年内に復旧できるかもしれないという。

■住民も後押し、駅舎にカフェ準備

 大井川本線沿線では住民による支援活動も加速している。青部駅(静岡県川根本町)では主婦の原田玉枝さん(61)らが木造駅舎を借りて改装し、カフェを開設する準備を進めている。川根温泉笹間渡(ささまど)駅や田野口(たのくち)駅でも、住民による花壇づくりや月に1度の交流イベントなどの支援活動がある。

 大鉄も今月、沿線からの協力に応えるべく、抜里(ぬくり)駅を管理しながら地元の高齢者へ届ける総菜を作り、週末には駅舎で食堂を営む諸田サヨさん(80)を名誉駅長に任命した。

 自治体がらみでは、沿線の観光資源を掘り起こそうとする動きも出ている。

 川根本町のエコツーリズムネットワーク事務局は4月、一般社団法人「エコティかわね」に移行。事務局長の神東美希さんは、ダム湖でのカヤック体験や茶摘み、集落散策などの体験型観光に力を入れる。3~4月には、大鉄沿線を含む志太榛原地域で農山村の体験型観光イベント「春*里山はく2016」も初めて開かれた。島田市も大井川沿いでのパラグライダー人気から公園整備に乗り出した。

 沿線からの追い風が吹き始めた大鉄。沿線住民でつくる「大井川流域鉄道サポーターズクラブ」の生田八朗会長(70)は「この流れが本物か見極めたい」と期待を込めて見守っている。

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